• 2016/09/10/Sat 12:20:50
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  • CATEGORY:洋裁

こちらをお読みくださるかたに洋裁系のかたはあんまりいらっしゃらないと思われるのですが
今日は洋裁トピックです。

ねこシャツのご注文を受けてサイズをうかがう時
いつも着ておられるシャツの各所を測っていただいたりするのですが
ほとんど気に留めていなかった場所、腕の肘の少し下の太くなっている部分、
そこがきつい、という方おられました。
 
あとで発覚したのですが そのかたと背格好の似ていると思われるうちの夫のシャツには
むか~しのだぶだぶした服が主流の頃のパターンの丈を詰めたものを使っており
この部分についての苦情が出たことはありませんでしたが
測ってみるとこの方と同じ寸法でした。
(つまり今私が使用しているパターンのシャツは着られないという事です…)
最近の市販シャツは肩幅は少し広くなったものの
わざわざ「ビッグシルエット」でないかぎり袖も胴もスリム傾向が定着してしまったようで
私のパターンよりもっと細いです。
まあ、カッコいいのですがだぶだぶに慣れた年代の人には
着心地は良くない形かもしれません。ていうか着られません。

で、大きなものを小さくすることは可能な場合が多いですが
小さいものを広げるのは不可能な場合が圧倒的に多く
この度も外科的大手術となりました。袖取り換えです。

幸運にも肩部分は支障なかったため袖のみ交換で済みました。
肩まわりがきつかった場合、身頃も交換です。
(ていうかそこきつかったら丸ごと作り直すのともはや同じ)
つまりまた刺繍をしなければなりません。
ホントはシャツだけの事であれば 袖を交換するよりもう1着縫ったほうが
気分的には楽です。「解く」作業はちょっと面倒なのです。

さてさて私のシャツは縫い代を「折伏せ縫い」で処理してあります。
袖山にギャザーがあったりする時は
「本縫い後2枚合わせてロック、倒してステッチ」とやるときもありますが
販売しているシャツは基本的に全て折伏せ縫いです。
別に自慢するほどの技じゃないですが
有名シャツ仕立て屋さんなどでは「巻き伏せ縫い」を自慢しており
これは織り伏せ縫いの工程をアイロン無しでやっちゃうそれ用ミシン(押さえ金部分が違う)でするのですが
それはそれでそのミシンを使いこなすまでは大変だと思います。
でもユニクロなどのファストファッションでも巻き伏せ縫いになってるように感じます。
全部じゃないかもだけど。
で、その折伏せ縫いだったから袖付け替えもできたよ~という感じのその工程は
「まず2枚を縫い合わせ片方の縫い代を半分の幅に切り落とし
切ってないほうの縫い代でくるむようにして縫い目で倒してステッチでとめる」
という言葉だけでもめんどくさい工程です。
これがね、アイロンも「かぶせて、倒して、布を広げて縫い代を倒す側の形に沿わせる」という
三段階(三つめは出来ない個所もありますが大変重要なコツです。)がとっても大事なのです。

これ↓手前の半分になった縫い代に(上)広い方の縫い代をかぶせて更に縫い目で倒したところ(下)

CIMG6421_R_R.jpg

CIMG6422_R_R.jpg

ココは袖下の部分でほぼ直線なので倒す側に沿わせるの簡単ですしあんまりやらなくてもいい場所ですが
沿わせたところ(平らにしてアイロン掛ける、ということです)

CIMG6423_R_R.jpg

(↓)ここは袖つけと脇へ続く部分なのですが
ちゃんとアイロンしてあるとステッチが大変きれいにかけられます。

CIMG6424_R_R.jpg

(↓)ここは剣ボロの裏側です。折伏せ縫いとは関係無いですが
アイロンをきっちりかけていたおかげで縫い終わってから裏を見て
「(ステッチ)乗ってるか~い?イェーイ!」っていつもなる場所です。(なんて私は古いんだ…)
ふざけてるみたいですが、難しいのですよココ。

CIMG6426_R_R.jpg

ステッチは落ちても表側から見たときガタガタしてなけりゃ何の問題も無いのですが
こういう風に表からかけたステッチの裏側が、
まるで裏から「こばステッチ」かけたみたいにちゃんとぎりぎりに乗ってる、というのを
家庭用のミシンでこなすのは結構技のいることなのです。
誰も褒めてくれないから自分で褒めてみました。
(家の子ども、シャツ縫いますけど台襟裏もカフス付けも剣ボロもみんなみんなステッチの裏外れてます。
折伏せ縫いステッチすらはずしてたり折りがめくれちゃったりしてます。初めはそんなものですよね…)

シャツの袖は前後身頃とヨークを縫い合わせた後、脇は縫わず
平らな状態で袖山と身頃たちを合体させ その後そで下から脇を縫って筒状にします。
袖を筒状に完成させてから前後身頃の脇を縫って空いた穴の部分に袖合体、という方法もあります。
コートやジャケットなどはその方法です。
シャツはどっちでもできるのですが
袖つけも折伏せ縫いをする場合は平らな状態の方がアイロン掛けやすいので
いつも平らで付ける方法でやっています。

でも今回、その方法で取り替えようとすると解く部分が多かったので
(すると折伏せ縫い部分も解くことになり段差のついた縫い代をまた縫い直すのも大変・・・)
身頃穴あき状態で袖交換にチャレンジしてみました。
まず解くのが一苦労です。ステッチと本縫い。
そして身頃側の縫い代は切ってしまってあって短いですから
あまりみださないように優しく扱います。
袖山をあらかじめ5~6㎜アイロンで折っておきます。
(身頃縫い代にかぶせる部分です。間違いやすいのですが外折です。)
その線に身頃縫い代端を合わせて本縫いで一周、
次の「縫い代を縫い目に部分で倒し、身頃側に縫い代をなじませる」というアイロン作業が出来ません。
(袖馬とか使えばアイロンはかけられますがちょっと難しいです。)
なので手でなじませつつ待ち針で細めにとめてステッチ。
左手のお仕事や待ち針の打ち方とかもコツがあるのですが 
なんかこんなの書いててもここへ来る方の誰の得にもならないか・・・?って今頃思って
あんまり細かいこと省略。 ここさえ縫えちゃえばもう完成です。
(多分ほとんどの人が「何言ってんの?」って感じだったかも・・・)

でもでも昨日この袖取り換えを初めてやって、こんなやり方で初めてやって
ちゃんと普通にできたのが嬉しかったのですよ私は。
やったこともなかったのにちゃんと出来るようになってたよ!
母がのり移ったのか!?って思いました。
ここ何年かシャツばっかり百も二百も縫って来てこそですかね・・・。

洋裁なさる方は目標として「買ったものみたいに綺麗に出来てる」というのがきっとあると思うのですね。
私の母は長い事既製服の縫製をやっていてまさにその綺麗なものを縫っていたのですが
私が(まだあまり縫物をしない頃)売り物のようにきれいに作りたい、と言った時
「折角家で手作りしたものがそこらで売ってるものに見えたらもったいない」と言っていました。
私は最近までその意味を「手作り品は多少ピシっと感に欠けていてもそれが味となって良い」というような
そういう「手作りは手作りの良さがある」的なことと受け取っていました。
しかしその真の意味は違うのではないか…と自分が刺繍なんかするようになってから思います。
そりゃー売り物の中でも
最高級素材を最高ランクの職人がその技を駆使して作る売り物、みたいのは置いといて
売り物を作る側の「速さ」を捨てて自分の出来る限りの「丁寧」だとかを詰め込んだとき
それはやっぱり市販品を超えたものになるんじゃないのかな・・・(今はひどい市販品もありますが…)
母の言葉はそうなるのを目標にしろ、ってことだったんじゃないのかな。
当たり前なんですけど、そこそこ技術がついてきた時、懇切丁寧に手をかけたものには
速くて綺麗に仕上がった物とは別の良さがあって当然なんですよね。
だってそれを捨ててのレディメイドなんだもん。
あー、ちょっと頑張ろ。もっと上手くなろ。「速さ」も必要なときもあるかもだけど
早くできた時より上手くできた時の方が満足度はずっと高いし
急がずやらなきゃいけないな、ですね・・・。(でも私「速さ」犠牲にし過ぎ…)

ところで外した袖を、私は「またハンカチ作れるかな?」と思って見ていたら
子どもらが「これ、背中部分を紐かなんかでつなげたら
「アシタカが着てる奴みたい!」だと両手にはめて遊んでました。 (手甲風のやつね?)

CIMG6420_R_R.jpg

リネンはやっぱり気持ちいいです。

COMMENT

とても楽しく拝見しました。
ほどくのほど大変な作業はないですよね!
うちは父が紳士服、母が婦人服の仕立て屋だったので
仰っていること、とてもよくわかります。
きちんと仕立てられた洋服の着心地のよさ、美しさは
既製服(両親は吊るしと呼んでいました)にはないものですもの。
ワタシも洋裁を習ったのにロクなものを作れません。
情けないことです(´・_・`)

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
わー、ご両親が仕立て屋さんだったのですか。
本職のかたの言葉は重いですよね。
ずっと前ジャケットのボタンホールを初めて職人さんに依頼した時
(それ以降は自分でやっているのですが)
完成一歩手前の服を見てその職人さんが
「これは売ってもいい、これは売れますよ奥さん」と言ってくださったのが
ものすごく嬉しい思い出です…。
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